あんなに強い藤井四段が四段の理由(将棋の昇段の仕組み)

あんなに強い藤井四段が四段の理由(将棋の昇段の仕組み)

あんなに強い藤井四段がまだ四段の理由(将棋の昇段の仕組み)

 

藤井四段のプロ棋士としてのデビュー戦は「ひふみん」こと加藤一二三九段戦でした。
名前が「一二三」でややこしいですが「ひふみん」は九段です。

 

四段九段なら九段のほうが「5つ」も段位が上。段位が上のほうが強いとされるのですが、将棋界では下の段位の人が勝つことはめずらしくありません

 

藤井四段の29連勝の中身を対戦相手の段位別にみると次のようになっています。

  • 対九段戦…1勝
  • 対八段戦…3勝
  • 対七段戦…5勝
  • 対六段戦…5勝
  • 対五段戦…4勝
  • 対四段戦…9勝
  • 対アマ戦…2勝

これだけ自分より上の段位の人に勝っていても、藤井四段はまだ四段です。
その理由は、将棋の昇段規定に達していないから。

 

そこで将棋の昇段規定についてまとめてみました。
(ちなみに、将棋は四段からがプロです。)

 

通算勝利数、竜王戦・順位戦の昇級などで昇段

将棋の昇段の仕組みはいくつかありますが、もっとも知られているのは通算勝利数
四段になって100勝(公式戦のみ)すると五段に昇段します。

 

六段、七段などへの昇段もそれぞれ決まっています。

 

勝利数による昇段規定
現在→昇段後 昇段条件(公式戦での勝利数)
四段→五段 四段になってから100勝
五段→六段 五段になってから120勝
六段→七段 六段になってから150勝
七段→八段 七段になってから190勝
八段→九段 八段になってから250勝

 

ちなみに、将棋の公式戦はトーナメント戦で行われることが多いので、勝てば勝つほど対局数が多くなり、昇段のスピードも早まります。

 

竜王戦、名人戦での昇段

将棋には全部で8つのタイトルがあり、その中で竜王戦名人戦は別格とされています。そのため、この2つの棋戦の成績で昇段することもあります。

 

竜王戦の成績による昇段
昇段条件 昇段後の段位
予選での連続昇級または通算3回優勝 五段
五段昇段後に予選で連続昇級または通算3回優勝 六段
予選2組への昇級 六段
六段昇段後に予選で連続昇級または通算3回優勝 七段
予選1組への昇級 七段

 

竜王戦の予選はランキング戦として上から1組から6組まで分かれています。
そのぞれの組で上位に入ると昇級として上の組に上がります(6組→5組)。

 

昇段条件にある「予選での連続昇級」とは、「6組→5組」「5組→4組」などのように連続して昇級することを意味しています。

 

名人戦の成績による昇段
昇段条件 昇段後の段位
順位戦C級1組昇級 五段
順位戦B級2組昇級 六段
順位戦B級1組昇級 七段
順位戦A級昇級 八段

 

名人戦の予選も順位戦として5つに分かれています。
最も下のクラスはC級2組。ここからスタートするので藤井四段も現在はC級2組です。

 

順位戦は1年間かけてリーグ戦形式で行われ、上位数名が上のクラスに上がります。
なお、順位戦で降級しても段位が下がることはありません。

 

タイトル挑戦などによる特別昇段

上の3つ以外にもタイトル挑戦などによる特別昇段があります。

 

昇段条件 昇段後の段位
タイトル挑戦 五段
五段昇段後のタイトル挑戦 六段
竜王挑戦 七段
タイトル1期獲得 七段
竜王1期獲得 八段
名人1期獲得 九段
竜王2期獲得 九段
タイトル3期獲得かつ八段 九段

 

例えば、四段がタイトル挑戦者となれば、その段階で五段となります。

 

タイトルを獲得した場合は、●●棋聖などそのタイトル名で呼ばれますが、防衛に失敗しても、「タイトル1期獲得」の規定により七段に昇段しているので、●●七段となります。