羽生棋聖が永世七冠を達成した2017年竜王戦第5局を振り返ってみます。
2017年の竜王戦はココまで挑戦者羽生棋聖の3勝1敗。
2連勝した後、第3局で敗れ、4局目を取り返して迎えたのが本局です。
第4局が行われたのが11月23日(木)、24日(金)でしたが、その後、本局までに公式戦で渡辺竜王と羽生棋聖の対局がありました。11月29日(水)に行われたA級順位戦です。
ちなみに、A級順位戦は名人位への挑戦者を決めるリーグ戦。
11月29日の対局では先手の羽生棋聖が89手で勝利しています。
本局もこのときと同じ角換わりとなりました。
竜王戦第5局は羽生棋聖の先手。
A級順位戦のときと同じで、戦型も同じ角換わりに進みます。
今回(2017年)の竜王戦での戦型はここまで下記のとおり。
ここまで角換わりと横歩取りがないのが意外でしたがバラエティに富んでますね。
第1図以下、後手渡辺陣は流行りの△8一飛△6二金型に組みました。
同じく角換わりとなったA級順位戦では後手の渡辺竜王が本局と同様に△8一飛△6二金型に組み、△6五歩から仕掛けましたが、本局は羽生棋聖が▲4五銀で先に仕掛けます。
銀交換になってしまうと▲6三銀の狙い(△6三同金なら▲7二角、△6一金なら▲7四銀成)があるので、渡辺竜王は△5五銀とかわします。
以下、羽生棋聖は▲2五桂〜▲1五歩と続けます。▲4五角が△8一飛と2三の地点との両取りになることを含みにしての攻めがきびしいんですね。
△8一飛△6二金型に対しては、▲6三銀と▲4五角が攻め筋なのかもしれません。
これは素人でも参考にできそうです。
以下、飛車(先手)と角(後手)の交換となり、先手は後手の1筋を破ることに成功しました。
終盤は渡辺竜王が反撃するも羽生玉は固く届かず。
87手▲4三銀打で渡辺竜王の投了となりました。
投了図以下は、△5一玉▲6三桂△同金▲5二金までの即詰み。
(▲6三桂に△6一玉なら▲7一金まで)
最後、羽生棋聖が好きな駒の「銀」で終わったのも良い投了図ですね。
(渡辺竜王の演出だとしたら考えすぎでしょうか…)
これで羽生棋聖の4勝となり竜王位を獲得。
通算7期目となり永世竜王の資格も得ました。
いままでの永世(名誉)称号とあわせて、ついに永世七冠を達成。
今期の羽生棋聖は王位、王座を失冠して不調だとか力がおとろえたとか言われましたが、この竜王戦に照準を合わせていたような気がしますね。同世代として嬉しいです。
藤井四段がこの記録に並ぶことがあるんですかね。
羽生永世七冠の偉大さがあらためてわかるような気がします。