ソフトの影響で大流行中の雁木の指し方についてプロの実戦棋譜をもとにポイントとなる点をまとめてみました。狙い筋がわからないという方は参考にしてみてください。
なお、駒組みについては下記の記事にまとめています。
⇒ 雁木の駒組み基本図と基本的な戦い方
雁木のメリットにはバランスが良く角の打ち込みに強いということがあります。
これを活かした指し方で参考になるのが下記。
2017年9月22日に行われた新人王戦トーナメントの増田康宏四段対近藤誠也五段戦。
増田四段は雁木を積極的に採用している棋士の一人でもあります。
ツノ銀雁木に組んだ先手の増田四段が▲4五歩(39手目)と仕掛けた局面です。
以下、△同歩▲同桂△4四銀としてから、▲2四歩で角交換を狙います。
で、手持ちにした角を▲6一角と打ちこみました(55手目)。
以下、馬を作って攻めが続き131手で先手増田四段の勝ち。
角交換→角の打ち込み→馬を作って攻めを継続は覚えておきたい狙い筋のひとつです。
もうひとつ増田四段の実践譜から。
こちらは新人王戦決勝戦3番勝負の佐々木大地四段戦(2017年10月6日)です。
第2図は△7二金(42手目)と後手佐々木四段が指した局面です。
ここから歩の突き捨て4連発で増田四段が攻めます。
▲3五歩△同歩▲4五歩△同歩▲5五歩△同歩▲7五歩△同歩。
3筋から4、5、7筋を歩の突き捨てます。
で、狙いは▲7四歩。
後手の桂頭を攻めます。
後手は△8五桂と逃げましたが、すかさず▲8六歩。
これが出来るのが雁木なんですね。
後手の桂馬が跳ねてきたときに、先手の銀が桂馬にあたらないのが雁木の駒組みのメリットです。矢倉だと△8五桂や△6五桂が▲7七銀にあたりますが、雁木ではカラ跳ねに。
このため、すかさず▲8六歩と指せるのです。
なお、▲5七銀型のノーマル雁木だと△6五桂であたってしまいますが、▲6七銀型のツノ銀雁木であれば△6五桂もカラ跳ねになります。
「桂頭を狙って、はねて逃げても、すかさず▲8六歩で催促」も覚えておきたい指し方のひとつです。一歩持ったら出来るので、タイミングを見て仕掛けることができます。
ちなみに、この対局でも増田四段が105手で勝っています。