羽生善治棋聖が永世七冠に挑戦する2017年竜王戦の第1局(2017年10月20日・21日)を戦型・仕掛け図から振り返ってみます。
注目の振り駒は「と金」が3枚。
羽生棋聖の先手番となりました。
ちなみに、前回の渡辺対羽生の竜王戦(2008年)第1局は渡辺竜王の先手番。
戦型は横歩取りとなり、渡辺竜王が勝利しています。
今回はどのような戦型となったのでしょうか。
羽生棋聖の先手で初手から▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲3八銀△7二銀に▲5八玉と構え、飛車先の歩の交換を保留する形に。
ここで渡辺竜王は1時間近く考えて△1四歩(考慮時間58分)。
まだ、10手目ですが慎重に時間を使ってますね。
ここから端歩を突きあって、先に飛車先の歩を交換したのは渡辺竜王。
飛車は△8四飛と引きました。
以下、3筋の歩を突きあって、飛車の横利きが止まったところで、先手も飛車先の歩を交換。羽生棋聖は▲2五飛と五段目に飛車を引きました。
先手が▲3四飛と横歩を取ったあとに、すぐ▲1五歩と仕掛けます(第2図)。
これが1日目の17時少し前。
1筋を突き捨てた後に▲3七桂と跳ねて攻撃準備。
3四の飛車を▲3五飛と引いたあとに、△3四歩とした局面で封じ手となりました。
2日目に入り、羽生棋聖の攻めに対して、渡辺竜王の強気の応手が続きます。
先手は飛車を見捨てて、後手左辺の金銀を「と金」で取って勝負。
後手の渡辺竜王も取った飛車を打ち込んで反撃しましたが届かず。
95手目▲7七玉で投了となりました(投了図)。
投了図の▲5五馬は▲1五角(59手目)〜▲3三角成(61手目)〜▲5五同馬(67手目)〜▲6四馬(69手目)〜▲5五馬(91手目)と進んだもの。良い位置で馬が動いてますね。
終局時刻は16時28分。
前回の渡辺対羽生の竜王戦(2008年)も第1局は92手と100手以下での決着でしたが、このときの終局時刻は18時15分でした。17時前の決着というのは早いですね。
ちなみに、2008年シリーズでは第2局以降は142手、138手、139手、155手、146手といずれも130手を超える戦いとなりました。今回はどうなるのでしょうか?
第2局は10月28日(土)29日(日)に行われます。