戦型観戦記(2017年王座戦第2局 羽生vs中村)
2017年9月5日に行われた第1局は185手で先手中村六段が勝利。羽生王座が「受けなし」と思っていた投了局面でも、実際にはまだ優劣不明だったという波乱の決着でした。
第1局は角換わり風の出だしから後手の羽生王座が4四歩と角道を止めて駒組みに。
30手目の△5五歩から羽生王座仕掛けて優勢になったものの、先手玉をつかまえきれず長手数の戦いとなりました(詳しくは第一局の観戦記で)。
第1局から2週間後に行われた第2局を戦型、仕掛け図を中心に振り返ってみます。
飛車先の歩交換を保留
第2局は羽生王座の先手番で初手から10手目まで下記のように進みました。
▲羽生王座 | △中村六段 |
---|---|
▲2六歩 | △8四歩 |
▲2五歩 | △8五歩 |
▲7八金 | △3二金 |
▲3八銀 | △7二銀 |
▲1六歩 | △9六歩 |
(第1図までの指し手)
先手後手とも飛車先の歩が交換できるのですが、交換せずに端歩を突いて様子見。
先に相手に交換させて、飛車の引き場所を決めさせるという駆け引きのようです。
このあとも反対側の端歩をつきあって意地の張り合い。
先に交換したのは後手で14手目。飛車は8四に引きました。
【第1図】
2局目も羽生王座が仕掛ける
その後、駒組みが進み、先手も33手目で飛車先の歩を交換。
45手目には先手から角交換も行いました。
交換した角をすぐに▲4六角として、進んだ数手後の▲6六歩(57手目)から戦いが始まりました。第1局と同じく、羽生王座が仕掛けて行ったことになります。
【第2図】
入玉を目指す羽生玉
羽生王座が攻め続けるもやや足りず、切れ気味。
そこで、羽生王座が入玉を目指す戦いへと切り替えます。
第1局では入玉をめざした中村玉を羽生王座がつかまえきれずに投了となりましたが、第二局は先後を入れかえて逆の展開となりました。
【投了図】
156手目△7四同銀で羽生王座が投了。
後手の中村六段が2連勝となりました。
ちなみに、中村六段は138手目から1分将棋。
羽生玉の入玉をめぐる攻防でも間違えずにキッチリ指し切りました。
2連勝となった中村六段はタイトル獲得に王手。
第3局以降の羽生王座の巻き返しにも期待したいところです。