戦型観戦記(2017年王座戦第3局 羽生vs中村)
挑戦者中村六段の2連勝で迎えた2017年王座戦第3局の観戦記です。
王座戦は五番勝負なので中村六段はタイトル獲得まであと1勝。
カド番となった羽生王座の戦いぶりも注目です。
この二人の対戦では2013年の王座戦でも中村六段がタイトル獲得まであと1勝(第3局終了時点で中村六段の2勝1敗)となったのですが、最終的に羽生王座が防衛しています。
2017年10月3日に行われた第3局はどうなったのか?
戦型、仕掛け局面を中心に振り返ってみます。
角交換へ先手中村六段が誘導
第3局の先手は中村王座。
初手から10手目まで下記のように進行しました。
▲中村六段 | △羽生王座 |
---|---|
▲2六歩 | △8四歩 |
▲7六歩 | △8五歩 |
▲2五金 | △3二金 |
▲7七角 | △3四歩 |
▲7八銀 | △7七角成 |
(第1図までの指し手)
中村六段の9手目▲7八銀がちょっとした工夫。
後手が角交換を避けた場合に左美濃から速攻を仕掛けるのが狙い。
第1局で▲7七角▲8八銀▲7八金型の先手に対して後手の羽生王座は10手目で△4四歩として角交換を拒否する展開にしたことを踏まえての対策と思われます(第1局の詳細はこちら)。
【第1図】
この後、▲2九飛▲4八金、△8九飛△6八金型の先後同型で駒組みが進みます。
1、2局目に続き羽生王座が仕掛ける
第1局、第2局とも羽生王座が先に仕掛けていきましたが、第3局でも後手の羽生王座が38手目に△6五歩と仕掛けていきました(第2図)。
【第2図】
▲6五同歩△6五同桂▲6六銀△6四歩と進み、再び駒組みに。
50手目の△8六歩で再び羽生王座が仕掛けます。
寄せ合いを制して羽生王座が1勝目
飛車を見捨てて攻め込んだ羽生王座。入玉も匂わせて粘る中村六段。という展開になり、その後は攻め合い、寄せあいに。
第1局では終盤でもたついた羽生王座ですが、本局ではしっかり寄せきって134手で勝利。対戦成績を1勝2敗としました。
【投了図】
投了図は先手玉が受けなしなのに対し、後手玉は詰みません。
次戦第4局は10月11日(水)、本局の8日後に行われます。