渡辺明竜王への挑戦者を決めるトーナメント決勝戦(三番勝負)の第1局を戦型と仕掛け局面を中心に振り返ってみました。
対戦者は羽生善治三冠と松尾歩八段。
羽生三冠(1組2位)は準決勝で稲葉八段(2組優勝)に、松尾八段(1組優勝)は久保王将(1組4位)に勝利しての決勝進出です。
羽生三冠が挑戦者となれば永世竜王をかけたタイトル戦となります。
松尾八段にとっても初のタイトル挑戦がかかる戦い。
注目の第一局は2017年8月14日。
持ち時間各5時間で行われました。
第1局は羽生三冠の先手番で、▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩の出だしから横歩取り△8五飛に進みました(第1図)。
先手からの角交換(25手目)後に△3六歩(32手目)と積極的に仕掛けて行ったのが松尾八段(第2図)。このあと△2五歩と飛車を引かせて、△7四歩から桂頭攻めを狙います。
羽生三冠は▲9五角と飛車にあてて反発。
後手△5五角の飛車取りには、▲6二角と銀を取って角切りで強襲しました。
以下は壮絶な攻め合いに。
羽生三冠が勝勢となるも「詰み」を逃して、紛れが出てかと思われたものの、▲5五玉(127手目)で松尾八段が投了。終局は22時42分でした。
消費時間はともに4時間59分。
1分将棋となったのは後手松尾八段94手目、先手羽生三冠101手目でした。
決めそこなったところはあったものの羽生三冠がリードを保って勝ち切ったという一番でした。