1勝1敗で迎えた三番勝負の第三局。
第30期竜王への挑戦者決定トーナメント決勝戦の観戦記です。
第二局の時点までは羽生三冠でしたが、王位戦で菅井竜也七段に敗れ、羽生二冠(王座、棋聖)となっての対局。羽生二冠にとって竜王挑戦は永世竜王への挑戦でもあります。
トーナメント決勝戦の第1局(羽生三冠)、第2局(松尾八段)とも先手が勝利。
振り駒の結果、先手は松尾八段に。戦型、仕掛け局面を中心に振り返ってみます。
松尾八段の先手で▲2六歩△3四歩▲7六歩△8四歩▲2五歩の出だしから、「横歩取り後手8五飛」へと進みます(第1図)。手順は違いますが、第1局と先後を入れ替えた形です。
第1局は25手目に先手の羽生三冠が▲3三角成と角交換に行きましたが、本局は角交換をしないまま、仕掛けどころを探る展開となりました。
後手の羽生二冠が△2五歩▲2八飛と先手の飛車を追いやってから7筋に桂をはね、△8六歩〜△7六飛と仕掛けていきました(第2図)。
先手は玉が7筋の金銀にヒモづく▲6八玉ではなく▲5八玉なので、△8八角成を受けなくてはならない局面です。
▲3三角成△同銀▲6八玉△4四歩▲8七金と進み先手が後手の飛車にプレッシャーをかける展開となりました。
先手の松尾八段は後手の飛車を封じ込めてから、2筋から反撃。
羽生二冠も先手の歩の頭への△3三桂打などで乱戦に。
難しい局面が続いたものの最後は即詰みに討ち取って羽生二冠の勝利。
終局時刻は22時29分でした。
これで羽生二冠が渡辺竜王に挑戦することが決定。
渡辺vs羽生の竜王戦は2010年以来(このときは4−2で渡辺竜王が防衛)。
羽生二冠にとっては永世竜王(通算7期)もかかるタイトル戦です。
今期一番の注目のタイトル戦となりそうです。