第73期王将戦(2024年1月開幕)の対局場所、日程が決まりました。
王将戦には「勝者の罰ゲーム」といわれる対局場所にちなんだコスプレをしての写真撮影があります。
何年も続いている対局場所だと「ネタ枯れ」感が出ますが、ことしはどんな写真撮影が行われるのでしょうか。
対局場所 | 勝者 | コスプレ | |
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第1局 | 栃木県大田原市(ホテル花月) | ||
第2局 | 佐賀県三養基郡(大幸園) | ||
第3局 | 島根県大田市(さんべ荘) | ||
第4局 | 東京都立川市(オーベルジュ ときと) | ||
第5局 | 大阪府高槻市(山水館) | ||
第6局 | 静岡県掛川市(掛川城 二の丸茶室) | ||
第7局 | 東京都練馬区(白瀧呉服店) |
王将戦には「勝者の記念撮影」という恒例行事があり、これが「罰ゲーム」とも呼ばれています。記念撮影なので悪いことではないのですが、対局場にちなんだコスプレをさせられるので、恥ずかしさから「罰ゲーム」なんですね。ただ、棋士は嫌がっている様子はなく、けっこうノリノリでやってくれています(勝者ができる儀式ですしね)。その写真は王将戦の主催紙でもあるスポニチに掲載されるので、タイトル戦の楽しみの一つとなっています。
ドリームマッチとなった藤井聡太王将vs羽生善治九段の王将戦の対局場所とコスプレはこちら。
対局場所 | 勝者 | コスプレ | |
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第1局 | 静岡県掛川市(掛川城 二の丸茶室) | 藤井聡太王将 | うさ耳と餅つき(干支がウサギ)、インコ |
第2局 | 大阪府高槻市(山水館) | 羽生善治九段 | たこ焼き屋の店主、高槻将棋ライナーの運転手 |
第3局 | 石川県金沢市(金沢東急ホテル) | 藤井聡太王将 | トリックアート、ズワイガニの背景 |
第4局 | 東京都立川市(SORANO HOTEL) | 羽生善治九段 | ウサギの被りもの+パジャマ姿、ショコラティエ |
第5局 | 島根県大田市(さんべ荘) | 藤井聡太王将 | 須佐之男、恵比須天に釣られる鯛 |
第6局 | 佐賀県三養基郡(大幸園) | 藤井聡太王将 | チャンピオンベルト、うなぎつかみ |
藤井聡太竜王が渡辺明王将から4勝0敗でタイトルを獲得したときの王将戦がこちら。
対局場所 | 勝者 | コスプレ | |
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第1局 | 静岡県掛川市(掛川城 二の丸茶室) | 藤井聡太竜王 |
天竜浜名湖鉄道の車掌 |
第2局 | 大阪府高槻市(山水館) | 藤井聡太竜王 |
くいだおれ太郎 |
第3局 | 栃木県大田原市(ホテル花月) | 藤井聡太竜王 |
松尾芭蕉 |
第4局 | 東京都立川市(SORANO HOTEL) | 藤井聡太竜王 |
BOSS |
2024年1月開幕の王将戦(藤井聡太王将)への挑戦権は菅井竜也八段が獲得しました。
日程 | 対局場 | 場所 | |
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第1局 | 1月7日(日)8日(月) | ホテル花月 | 栃木県大田原市 |
第2局 | 1月20日(土)21日(日) | 大幸園 | 佐賀県上峰町 |
第3局 | 1月27日(土)28日(日) | さんべ荘 | 島根県大田市 |
第4局 | 2月7日(水)8日(木) | オーベルジュときと | 東京都立川市 |
第5局 | 2月17日(土)18日(日) | 山水館 | 大阪府高槻市 |
第6局 | 3月9日(土)10日(日) | 掛川城二の丸茶室 | 静岡県掛川市 |
第7局 | 3月30日(土)31日(土) | 白瀧呉服店 | 東京都練馬区 |
藤井聡太王将と菅井竜也八段は2023年叡王戦でもタイトル戦を戦っていて、このときは3勝1敗で藤井叡王がタイトル防衛しました。
叡王戦第1局 | 2023/4/11 | 居飛車vs三間飛車で先手の藤井叡王が勝利 |
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叡王戦第2局 | 2023/4/23 | 三間飛車vs居飛車で先手の菅井八段が勝利 |
叡王戦第3局 | 2023/5/6 | 居飛車vs三間飛車で先手の藤井叡王が勝利 |
叡王戦第4局 | 2023/5/28 | 三間飛車vs居飛車で千日手(先手菅井八段) |
叡王戦第4局指直1 | 2023/5/28 | 居飛車vs三間飛車で千日手(先手藤井叡王) |
叡王戦第4局指直2 | 2023/4/23 | 三間飛車vs居飛車で後手の藤井叡王が勝利 |
戦型はすべて居飛車vs振り飛車(三間飛車)。決着局となった第4局は千日手2回のあと、後手番で藤井叡王が勝ち、タイトル防衛を果たしました。
羽生 | 豊島 | 永瀬 | 近藤 | 渡辺 | 菅井 | 佐々木 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1.羽生善治九段 | - | ● | ○ | ○ | ○ | ● | ○ |
2.豊島将之九段 | ○ | - | ● | ● | ● | ● | ○ |
3.永瀬拓矢九段 | ● | ○ | - | ○ | ○ | ○ | ● |
4.近藤誠也七段 | ● | ○ | ● | - | ○ | ● | ○ |
5.渡辺 明九段 | ● | ○ | ● | - | ● | ● | |
5.菅井竜也八段 | ○ | ○ | ● | ○ | ○ | - | ○ |
5.佐々木勇八段 | ● | ● | ○ | ● | ○ | ● | - |
棋士名の前の数字は順位
2023年度王将戦挑戦者決定リーグ戦は5勝1敗で菅井竜也八段が挑戦権を獲得しました。
渡辺 | 永瀬 | 羽生 | 近藤 | 豊島 | 糸谷 | 服部 | 成績 | |
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1.渡辺名人 | - | ○ | ○ | ● | ● | ● | ● | 1勝5敗 |
2.永瀬王座 | ● | - | ● | ○ | ○ | ○ | ● | 3勝3敗 |
3.羽生九段 | ○ | ○ | - | ○ | ○ | ○ | ○ | 6勝0敗 |
4.近藤七段 | ○ | ● | ● | - | ● | ○ | ○ | 3勝3敗 |
5.豊島九段 | ○ | ● | ● | ○ | - | ○ | ○ | 4勝2敗 |
5.糸谷八段 | ○ | ● | ● | ● | ● | - | ○ | 2勝4敗 |
5.服部五段 | ○ | ○ | ● | ● | ● | ● | - | 2勝4敗 |
棋士名の前の数字は順位
2022年度王将戦挑戦者決定リーグ戦は全勝(6勝0敗)で羽生九段が挑戦権を獲得しました。
年度 | 王将 | 挑戦者 | タイトル保持者から見た結果 | |
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2022 | 藤井聡太 | 羽生善治九段 | ○●○●○○ | 防衛 |
2021 | 渡辺明 | 藤井聡太竜王 | ○○○○ | タイトル獲得 |
2020 | 渡辺明 | 永瀬拓矢王座 | ○○○●●○ | 防衛 |
2019 | 渡辺明 | 広瀬章人八段 | ○●○●●○○ | 防衛 |
2018 | 久保利明 | 渡辺明棋王 | ●●●● | タイトル獲得 |
2017 | 久保利明 | 豊島将之八段 | ●○○○●○ | 防衛 |
2016 | 郷田真隆 | 久保利明九段 | ●●●○○● | タイトル獲得 |
2015 | 郷田真隆 | 羽生善治名人 | ○●●○○○ | 防衛 |
2014 | 渡辺明 | 郷田真隆九段 | ○○●●○●● | タイトル獲得 |
2013 | 渡辺明 | 羽生善治三冠 | ○○●●○●○ | 防衛 |
2012 | 佐藤康光 | 渡辺明竜王 | ●●○●● | タイトル獲得 |
2011 | 久保利明 | 佐藤康光九段 | ●●●○● | タイトル獲得 |
2010 | 久保利明 | 豊島将之六段 | ○●○○●○ | 防衛 |
8つある将棋のタイトルの中で名人戦の次に歴史があるのが王将戦です。
第1期王将戦が行われたのは昭和26年。
このとき陣屋事件と呼ばれる週刊誌でも取り上げられるスキャンダルな出来事がありました。
陣屋事件の陣屋とは舞台となった旅館の名前。
ここで王将戦の第6局が行われる予定でした。
王将戦を戦っていたのは木村義雄名人と升田幸三八段。
第5局まで終えた段階で、升田八段の4勝1敗。
すでに、升田八段が王将となっていました。
7番勝負の場合、先にどちらかが4勝した段階で以降の対局は行われませんが、当時のルールではどんな結果であれ7局戦うことになっていました。
ただし、3局勝ち越した場合は、次の対局はハンデ戦となります。
将棋のハンデ戦は駒落ちと呼ばれ、片方が駒を少なくして対局します。
3局負け越していたのは、ときの名人。
名人が相手に駒を少なくしてもらってハンデ戦で戦うという屈辱を味わうことになったのです。
このことを気にしたのが名人ではなく対戦相手の升田八段(駒を落とすほう)。
升田八段が対局場所(陣屋)にイチャモンをつけてこの対局を拒否しました。
名人の権威を傷つけたくないと思いからだったというのが定説ですが真相は不明。
この騒動は週刊誌でも取り上げられたほどの事件でした。
羽生善治六冠が全タイトル同時独占をかけて最後に挑戦したのが王将戦です。
対戦相手は谷川王将(当時はタイトルが7つ)。
この世紀の対局が行われたのは平成7年。
第1局を谷川王将が勝利した後に阪神・淡路大震災が起こりました。
兵庫県神戸市出身の谷川王将は自宅、実家とも被災。
震災後の混乱の中、第2局を迎えることとなります。
結局、王将戦の7番勝負は3勝3敗のタイで最終局に。
羽生七冠誕生かと最終局には注目が集まりました。
3月に行われた最終局で勝利したのは谷川王将。
羽生の七冠達成をあと一歩のところで阻止しました。
ところが、ここで終わらないのが羽生善治のスゴさ。
六冠すべてを防衛した上で、翌年ふたたび王将戦の挑戦者となります。
相手はもちろん谷川王将。
この七番勝負を4−0のストレートで勝利し、羽生七冠が誕生!
なにかと歴史の舞台となることが多い王将戦ならではの出来事と言えます。