藤井聡太竜王・名人の八冠挑戦で注目された2023年度王座戦は3勝1敗で藤井竜王・名人が永瀬拓矢王座からタイトルを獲得しました。
日程 | 対局場 | 場所 | 結果 | |
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第1局 | 8月31日(木) | 元湯・陣屋 | 神奈川県秦野市 | ○永瀬王座(後手) |
第2局 | 9月12日(火) | ホテルオークラ神戸 | 兵庫県神戸市 | ○藤井竜王・名人(後手) |
第3局 | 9月27日(水) | 名古屋マリオットアソシアホテル | 愛知県名古屋市 | ○藤井竜王・名人(先手) |
第4局 | 10月11日(水) | ウェスティン都ホテル京都 | 京都府京都市 | ○藤井竜王・名人(後手) |
6月28日(水)に行われた王座戦挑戦者決定トーナメント準決勝で羽生善治九段に勝利し、決勝進出を決めました。
挑戦権獲得まであと1勝です。
藤井聡太八冠誕生なるかで注目されている王座戦ですが、挑戦者決定トーナメントが進行中です。
藤井聡太七冠は6月20日(火)に行われた2回戦で村田顕弘六段に勝利し、ベスト4進出。
村田六段との対局は、新・村田システムを用いた村田顕弘六段が勝利まであと一歩というところまで迫りましたが、終盤の逆転で藤井七冠が勝利した見どころのある一局でした。
次局は6月28日(水)に羽生善治九段との対局となっています。
年度 | 王座 | 挑戦者 | タイトル保持者から見た結果 | |
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2023 | 永瀬拓矢 | 藤井聡太竜王・名人 | ○●●● | タイトル獲得 |
2022 | 永瀬拓矢 | 豊島将之九段 | ●○○○ | 防衛 |
2021 | 永瀬拓矢 | 木村一基九段 | ●○○○ | 防衛 |
2020 | 永瀬拓矢 | 久保利明九段 | ○●○●○ | 防衛 |
2019 | 斎藤慎太郎 | 永瀬拓矢叡王 | ●●● | タイトル獲得 |
2018 | 中村太地 | 斎藤慎太郎七段 | ●●○○● | タイトル獲得 |
2017 | 羽生善治 | 中村太地六段 | ●●○● | タイトル獲得 |
2016 | 羽生善治 | 糸谷哲郎八段 | ○○○ | 防衛 |
2015 | 羽生善治 | 佐藤天彦八段 | ○●●○○ | 防衛 |
2014 | 羽生善治 | 豊島将之七段 | ○○●●○ | 防衛 |
ついに七冠制覇。藤井聡太竜王・名人が持っていないタイトルは、残り王座だけです。
名人位への挑戦は、順位戦をC2→C1→B2→B1→A級と勝ち上がらなければならないので時間が掛かるのですが王座戦はトーナメントを勝ち抜けば挑戦権を得ることができます。
ところが、王座戦とは相性がよくないのか、これまでタイトル挑戦なし。
過去の王座戦での藤井竜王の成績をふり返ってみました。
藤井竜王・名人の王座戦成績 | タイトル保持者 | 挑戦者 | 結果 | |
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2022年 | 挑戦者決定トーナメント1回戦敗退(大橋貴洸六段) | 永瀬拓矢王座 | 豊島将之九段 | 3-1防衛 |
2021年 | 挑戦者決定トーナメント1回戦敗退(深浦康市九段) | 永瀬拓矢王座 | 木村一基九段 | 3-1防衛 |
2020年 | 二次予選敗退(大橋貴洸六段) | 永瀬拓矢王座 | 久保利明九段 | 3-2防衛 |
2019年 | 挑戦者決定トーナメント1回戦敗退(佐々木大地五段) | 斎藤慎太郎王座 | 永瀬拓矢叡王 | 3-0奪取 |
2018年 | 挑戦者決定トーナメント準決勝敗退(斎藤慎太郎七段) | 中村太地王座 | 斎藤慎太郎七段 | 3-2奪取 |
タイトル挑戦まで惜しかったのが2018年の王座戦です。一次予選、二次予選と勝ち上がり、挑戦者決定トーナメントでは1回戦で屋敷九段、2回戦で深浦九段に勝利したものの準決勝で斎藤慎太郎七段(当時)に敗れてしまいました。この年は斎藤慎七段が挑戦者になり、タイトル奪取に成功しています。
ただ、これ以降の藤井竜王・名人の王座戦での成績はイマイチ。
大橋貴洸六段には、2020年と2022年に敗れています。
また、棋聖+王位のダブルタイトル戦が決まった佐々木大地七段にも1回戦で敗れたことがありました。
ことしの挑戦者決定トーナメントは1回戦で中川大輔八段に、2回戦で村田顕弘六段に勝利。
あと2勝で挑戦権獲得となります。
2回戦 | 村田顕弘六段(6月20日勝利) |
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準決勝 | 羽生善治九段 |
決勝 | 渡辺明九段vs石井健太郎六段、豊島将之九段の勝者 |
将棋にはタイトル戦が8つありますが、それぞれ持ち時間がちがいます。
最も長いのは名人戦で各9時間の持ち時間。
各9時間なので1日では終わらず、1局を2日で戦うことになります(2日制)。
短いものだと持ち時間は各4時間。
こちらは1日で勝負が決まる戦いです(1日制)。
1日制か2日制か以外にも7番勝負か5番勝負かもタイトルにより異なります。
この微妙な違いが各タイトル戦と棋士の相性を生みます。
かつて七冠を達成し、全タイトルを獲得した羽生善治三冠にもタイトル戦との相性はあるようで、最も相性がいいのが王座戦です。
羽生三冠が初めて王座を獲得したのは平成4年。
ここから年に1回のタイトル戦で防衛を続けること19回。
平成23年に渡辺明竜王に敗れるまで王座を保持し続けました。
しかも、翌年のリベンジに成功。
挑戦者決定トーナメントを勝ち上がり、渡辺明王座に挑戦。
3勝1敗で見事、王座に返り咲きました。
しかも、そこから5連覇。
「羽生善治のホームグラウンド」と言われるほど相性の良い棋戦になっています。
将棋のタイトル(称号)には永世というものがあります。
永世名人、永世竜王など。
タイトルを決められた回数(タイトルごとに違う)獲得すると永世という称号がつきます。
例えば、名人は通算5期で永世名人となります。
この唯一の例外が王座。
王座の場合だけは、「永世」ではなく「名誉」がつきます。
条件は連続5期または通算10期以上。
もちろん、羽生三冠は名誉王座です。
王座戦は一次予選、二次予選がともにトーナメント戦。
女流棋士4名も参加するトーナメントです。
二次予選を勝ち抜いた棋士とシード棋士による16名で挑戦者決定トーナメントを実施。
タイトル戦は9月から10月にかけて行われます。
持ち時間は各5時間の1日制。
五番勝負で先に3勝したほうが勝者となります。