女性棋士と女流棋士。「性」と「流」の一字ちがいですが、制度としてベツモノです。
将棋のプロのことを「棋士」といい、この棋士になるには奨励会という養成機関に入り、そこを勝ち抜かなければなりません(棋士編入試験という例外アリ後述)。
この奨励会には性別による区別・制限はありません。
完全な実力社会です。なので、男性でも女性でも棋士になる方法にちがいはありません。
ただし、この奨励会を勝ち抜いて棋士になった女性はこれまで一人もいません。このため、現時点では、棋士は男性のみなので、男性棋士という言い方はせず単に棋士と呼ばれています。
一方、女流棋士というのは女性だけがなれる棋士です。収入を得ることができるので、「プロ」棋士でもあります。また、女流棋士のみによるタイトル戦なども行われています。
女流棋士制度は、棋士にはなれない(奨励会を勝ち上がる実力がない)女性でも将棋の普及の面などで活躍の場を得られるように設けらた制度です。
里見香奈女流四冠が棋士編入試験を受験すると発表されました。
棋士編入試験とは、年齢制限により奨励会を退会した人がプロ入りする(棋士になる)ために行わる試験です。受験するには厳しい条件があり、これまで受験資格を得たのは4名のみ。
プロ公式戦で、最も良いところから見て10勝以上、なおかつ6割5分以上の成績(+四段以上の正会員の推薦)
里見女流四冠が5人目の受験資格獲得者となり、棋士編入試験を受けることになりました。
棋士編入試験は、プロの棋士と対局し5対局中3勝で合格となります。
ちなみに、里見女流四冠より前に資格を得た4名のうち試験を受けたのは2名で2名(今泉健司五段、折田翔吾四段)とも合格しています。
瀬川晶司六段は現制度が出来る前の特例試験でプロ入りしています。
里見女流四冠はかつて奨励会に所属していました。このときはプロ一歩手前の三段まで上がったのですが年齢制限のため退会。所属時は下記の成績でした。
2011年5月21日 | 奨励会1級での奨励会入会 |
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2012年1月7日 | 奨励会初段 |
2013年7月29日 | 奨励会二段 |
2013年12月23日 | 奨励会三段 |
2014年4月〜 | 奨励会三段リーグ参加 |
2014年前期 | 体調不良により休場 |
2014年後期 | 体調不良により休場 |
2015年前期 | 体調不良により休場 |
2015年後期 | 5勝13敗(プロ入り…都成竜馬・井出隼平・佐々木大地) |
2016年前期 | 7勝11敗(プロ入り…藤井聡太・大橋貴洸) |
2016年後期 | 8勝10敗(プロ入り…西田拓也・杉本和陽) |
2017年前期 | 7勝11敗(プロ入り…斎藤明日斗・古森悠太) |
2017年後期 | 7勝11敗(プロ入り…長谷部浩平・池永天志) |
藤井聡太五冠とも同時期に三段リーグに所属していたことになります。
里見女流五冠のプロ編入試験は8月以降に月1局のペースで行われます。
対局相手は最近棋士になった5名(棋士番号が大きい5名)。
里美女流五冠が3勝した時点で試験は終了(プロ入り決定)となります。第1局は振り駒の結果、里見女流が後手番となりゴキゲン中飛車を採用したものの、敗れました。第2局は先手番となります。