第30期竜王への挑戦者決定トーナメント決勝戦第2局の振り返りです。
決勝戦は三番勝負で第1局は先手番の羽生善治三冠が勝利。
羽生三冠がストレートで挑戦者となるか松尾歩八段が勝って最終局にタイトル初挑戦の望みをつなぐかという一局です。戦型、仕掛け局面をもとに振り返ってみます。
松尾八段の先手で「横歩取り」模様に進みましたが、15手目に▲2八飛と横歩を取らずに飛車を引きました。△7六飛に▲7七角として横歩取りの後手番を先手で指そうとする狙い。
▲2八飛に△2三歩とする前例もありましたが、羽生三冠は△7六飛としました(第1図)。
先手の松尾八段は31手目に▲2六飛としたため一手損に。
先後が入れ替わったのと同じようなことになりました。
先手から角交換し、▲7七桂〜▲8五歩〜▲8六飛で8筋から攻める構想を見せたのが松尾八段。これに対し、持ち角を△6四角と打って仕掛けて行ったのが羽生三冠です。
先手の飛車を動かして△8五桂が後手の狙いです。
第2図以下、▲5六飛△8五桂▲6五桂△9七桂成と進んで後手が先攻する展開に。
このあと6筋に2枚並べた桂(▲6五桂▲6六桂)と7筋の飛車を活かして先手が反攻(投了図にも残っています)。以下、直線的な攻め合いになりました。
76手目△2八成香で先手玉に詰めろがかかりましたが、ここから松尾八段が羽生玉を即詰みに討ち取りました。89手目▲3二金で羽生三冠が投了。
終局は21時42分。
松尾八段は持ち時間を21分残しての勝利でした。
これで決勝3番勝負は1勝1敗のタイに。
第1局、第2局とも先手番が勝利したことになります。