2017年6月26日に行われた竜王戦挑戦者決定トーナメントの1回戦は増田康宏四段(5組優勝)対藤井聡太四段(6組優勝)となりました。
藤井四段にとっては公式戦29連勝の日本新記録がかかる一戦。
日本中から注目されましたよね。
今回はこの一局を戦型、仕掛け図を中心に振り返ってみます。
なお、竜王戦挑戦者決定トーナメントの持ち時間は各5時間です。
藤井四段の先手で▲2六歩△8四歩▲7六歩△3二歩▲7八金△8五歩と角換わりの出だしから10手目に増田四段が△4四歩と角交換を拒否。
最近、プロの公式戦でよくみられる戦型になりました。
△4四歩に対し、先手の藤井四段は▲4八銀〜▲3六歩〜▲3七銀と積極的に指します。
で、早くも▲3五歩と21手目に仕掛けました(第2図)。
以下、△3五同歩▲4六銀△3六歩▲2六飛と続けます。
△3五同歩に▲2六銀ではなく▲4六銀としたのは▲2六飛と指すため。
取られる前の△3六歩の突き捨ては手筋ですね。
以下、△4二角とし8六で交換した角を△2七角と飛車取りに打って増田四段が反撃する展開に。先手の藤井四段は▲7七桂(49手目)〜▲6五桂(51手目)と左桂を活用します。
ポンポンと桂馬が飛んでいくのが藤井流ですよね。
▲6五桂が利いている5三に▲5三桂打として「藤井ワールド」全開の指し回し。
最後は上部脱出を試みる増田玉をしっかりとらえて終局。
投了図で角が逃げれば3四の金を取って詰めろです。
終局時刻は21時24分。
消費時間は▲藤井4時間30分、△増田4時間48分でした。
これで藤井四段は日本新記録となる公式戦29連勝。
竜王戦決勝トーナメント2回戦で佐々木勇気五段と対戦することになりました。