2017年の竜王戦で挑戦者の羽生棋聖が渡辺竜王に勝利し、竜王位のタイトルを獲得した対局があったのが鹿児島県にある「指宿白水館」です。
このときの竜王位獲得により、羽生棋聖は永世竜王の資格を得て、永世七冠を達成しました。つまり、「指宿白水館」が永世七冠達成の地というわけです。
敷地内には記念碑も建てられています。
将棋の聖地として一度は訪れてみたい宿ですよね。
そこで、「指宿白水館」では、どんな対局が行われていたのかを調べてみました。
永世七冠誕生局となったのは2017年竜王戦七段勝負第5局。
渡辺明竜王 対 羽生善治棋聖。
ここまで羽生棋聖の3勝1敗で、本局は羽生棋聖の先手番でした。
角換わりとなった対局は、1日目から先手の羽生棋聖が定説ではダメだといわれていた▲4五銀(37手目)で仕掛けました。大一番でも積極的ですね。
以下、羽生棋聖の攻めに、渡辺竜王は馬を作って対抗。
△1五歩と先手の歩を取った局面で封じ手となりました。
対局者の気分を味わうなら、この局面以降の展開を現地で考えてみてはいかがでしょうか。
翌年(2018年)の竜王戦第6局も「指宿白水館」で行われました。
羽生善治竜王 対 広瀬章人八段。
ここまで羽生竜王の3勝2敗で、羽生竜王は防衛まであと1勝。
本局に勝てば、竜王位防衛となり、タイトル獲得通算100期となります。
記念すべき対局が、また「指宿白水館」で行われることになったんですね。
対局は横歩取りの激しい展開となり▲3七角で封じ手の局面となりました。
このあと2日目に羽生竜王にミスが出てしまいます。
ミスを取り返せぬまま、2日目の昼(12時7分)で羽生竜王が投了。
タイトル100期は持ち越しとなり、2日目の昼食、午後のおやつも幻となりました。
幻となった2日目の昼食メニュー(事前に注文していたもの)
ちなみに、黒豚カツカレーは羽生竜王も1日目の昼食で注文していますし、前年(2017年)の対局でも渡辺竜王と羽生棋聖が1日目の昼食で注文してました。
現地に行ったときには「黒豚カツカレー」は食べておきたいですね。
「指宿白水館」では2016年の竜王戦(第4局)も行われています。
渡辺明竜王 対 丸山忠久九段。
ここまで丸山九段の2勝1敗で本局は渡辺竜王の先手番です。
封じ手の局面が下記。
1日目はゆっくりとした展開でした。
なお、本局は渡辺竜王が勝利。
両対局者とも、やはり1日目の昼食に黒豚カツカレーを頼んでいます。
指宿白水館は「3月のライオン(羽海野チカ著)」で棋竜戦第3局が指された対局場「白泉館」のモデルになった宿でもあるそうです。
ホンモノのタイトル戦が行われたのは2016年の竜王戦(渡辺竜王対丸山九段戦)が最初で、翌2017年の対局が羽生永世七冠の誕生局となったわけです。持ってますね。
ちなみに、指宿は将棋を指す宿とも読めるとか。
確かに、囲碁は打つ、将棋は指すなので将棋にゆかりがあるのかもしれません。
将棋聖地として訪れてみてはいかがでしょうか。