後手番での角頭歩戦法の基本変化図と参考になりそうなプロの実戦棋譜をまとめてみました。
先手番角頭歩は別記事「角頭歩(先手番)での指し方」にまとめてあります。
▲7六歩△3四歩▲2六歩に四手目で△2四歩!とするのが後手番角頭歩(第1図)。
こんな手が成立するんですね。
先手番の角頭歩なら、この局面で角頭歩側の手番になるので、角交換から桂をはねて飛車先の歩を受けることになります。ところが、後手番ではその手が間に合いません。
ここで先手が▲2五歩とすると、どうなるのでしょうか?
▲2五歩以下、△同歩▲同飛△8八角成▲同銀△3三桂(第2図)。
飛車先の歩を交換させてから、角交換で△3三桂とします。
先手の飛車は2一か2三に成れますが、そこで△2二飛とぶつけるのが後手の狙い。
これで後手が指せるというのが基本的な考え方です。
そこで4手目の△2四歩に対し、すぐに▲2五歩としない指し方もあります。
一例は、▲6八玉(第3図)
ここで後手から△8八角成▲同銀と角交換をして、△2二飛や△3三桂で飛車先を受けようとするのは無理筋。△2二飛には▲6五角、△3三桂には▲2三角があります。
▲2三角に対して△4五角は▲6八玉が角成を防いでいて無効です。
このため▲6八玉に対しては△5四歩とつくのがひとつのカタチです(第4図)。
上記の変化で△2二飛としたときの▲6五角を防ぐ狙い。
第4図から▲7八玉△8八角成▲同玉(第5図)としたプロの実戦があります。
2017年1月19日に行われた順位戦での長岡裕也五段対西川和宏六段戦です。
▲8八同玉とした狙いは穴熊に組むこと。
実戦での進行もそのようになり、仕掛け局面(第6図)のような展開となりました。
角頭歩はタイミングを見て角交換するのが狙いのひとつです。
そこで角頭歩対策として、角道を止めて角交換指させない指し方もあります。
プロの実戦では2016年7月14日の島本亮五段対西川和宏五段戦(順位戦)。
▲6八玉△5四歩のあとに▲6六歩としました(第7図)
以下の指し手は、△4四角▲7八銀△2二飛と進み、じっくりした駒組みに。
先手から仕掛ける展開(第8図)となりました。
ここで紹介したプロの実戦棋譜は2局とも西川和宏六段のものです。西川六段は後手番角頭歩を採用することが多い棋士のひとりです(ほかは鈴木大介九段など)。
ほかにも実践譜が気になる方は西川六段や鈴木九段の棋譜をチェックしてみてください。