対局勘じゃなくて大局観(将棋用語のイロハ)

対局勘じゃなくて大局観(将棋用語のイロハ)

対局勘じゃなくて大局観

初心者が解説を聞いていて最もカン違いしやすい将棋用語が「大局観」です。

 

初めて「タイキョクカン」と聞いて思い浮かぶ文字は「対局勘」ではないでしょうか。
スポーツでも「試合勘」とか使われますよね。アレと同じような感じで。

 

将棋の場合は、タイキョクカンと言えば「大局観」のことです。
よーく解説を聞くと「対局勘」のイントネーションとは違っています。

 

では、この大局観とはどんな意味なのでしょうか?

 

大局観とは

大局観とは、広い視野・視点で形勢判断をする能力のことです

 

プロ棋士の対局は読みと読みのぶつかり合いです。
こう来たら、こう指す。こう来るから、こう指す。

 

相手の手を読んで、自分の指し手を決めます。
ただ、これが行き過ぎると局所的な有利を求めがちになってしまいます。

 

木を見て森を見ず」となってしまうことがあるのです。
そこで、大局観。

 

  • 攻め続けているときに、守りの手を指す
  • 敵陣を攻撃する前に自陣を引き締める
  • 盤面の右側で戦いが起こっているときに、左側の駒を動かす

 

こうした指し手が大局観に基づいた指し手と言われます。
広い視野・視点で現状を認識したうえで、今後の方向性を決めているのです。

 

大局観は棋士それぞれによって違う

大局観という言葉は解説の中では次のように使われます。

  • これは大局観が現れた一手ですね
  • ●●先生は独特の大局観をお持ちになっている
  • 振り飛車党ならではの大局観に基づいた手ですね

 

大きな戦略を決めることにもなるのが大局観です。
棋士ひとりひとりの個性が出る一手でもあるのです。

 

誰もが今は攻めるときと思った局面で守りの手を指す。
その棋士の大局観がなせる業です。

 

それが「正解」かどうかは、その後の展開次第。
勝敗の分かれ道となることが大局観に基づいた手です。

 

なので、解説で「大局観」という言葉が出てきたら、ここが見どころと思うと観戦がより楽しくなります。注意して聞いてみてください。

 

大局観を英語にすると…

ちなみに、大局観を英訳すると「wide perspective」が一般的。
perspectiveは「考え方」「見方」「展望」といった意味の英語です。

 

wideが「幅広い」なので、「幅広い考え方」といったところでしょうか。
個人的には、この英語はイマイチ。

 

「wide perspective」より「big picture」のほうが「大局観」の英訳としてはピンときます。
日本語で「画をかく」という表現もありますよね。その感覚に近いかもしれません。

 

マメ知識でした。