「待望の手番が回ってきましたね」というように使われるのが「手番」です。
将棋は一手ずつ交互に指すので、待ってれば「手番」は回ってきそうですが、解説で使われるときの「手番」には単なる指す順番以外にも深い意味があります。
相手が長考していたので、やっと自分の順番になったという意味だけではないのです。
今回はこの将棋用語を解説してみたいと思います。
単に次にどちらが指す順番かの意味で「手番」を使っても間違いではありません。
「いまは先手の手番なので、次の手は…」なんて解説もあります。
この「手番」が特に重視されるのは終盤です。
将棋の形勢判断のポイントは3つ。
「駒の損得」「玉の固さ」そして「手番」です。
序盤から中盤にかけて「駒の損得」が重視されるのに対し、終盤は「手番」が重視されます。
将棋は相手より一手早く敵の玉を詰ませばイイからです。
となれば、「3」の段階で先手の勝利が確定します。
「ウラの攻撃」で後手も王を取ったんだから「引き分け」なんてことはありません。
将棋には野球のような「ウラの攻撃」などないのです。
このため、どちらが指す順番かの「手番」が重要というわけです。
次にどちらが指す順番かという意味ではなく、主導権を握っているほうを指して「手番」を握っているということもあります。
「待望の手番が回ってきましたね」というのは、こちらの意味の「手番」です。
先手が攻めの手を指す。それに対して、後手が受けの手を指す。
再び先手が攻めの手を指す。後手は再びその手に対する受けの手を指す。
この状態は先手が「手番を握っている」といいます。
後手が先手の指し手を無視して、自分の好きな手を指せない状態でいることを表しています。
例えば、後手は攻めたいと思っていても、先手に王手をされてしまったら、その王手に対応する手(玉が逃げる逃げる等)を指さなければなりません。
受けてるほうに手番が回ってくるのは攻めが緩んだとき。
攻め手が攻め駒を引き上げたときや当面の危機が回避できたときなどです。
「待望の手番が回ってきた」というわけです。
ラブビーで言えばターンオーバーでボールを獲得した状態です。
ここからどう攻めるか?
腕の見せ所でもあります。
観戦してるほうとしては見どころとなります。
「手番」が回ってきたときの指し手に注目してみてください。