「令和の天才」藤井聡太に「平成の天才」羽生善治が挑む!将棋界でのドリームマッチ中のドリームマッチ。タイトル戦での羽生vs藤井が実現しました。2023年1月8日に開幕する王将戦七番勝負。普段は将棋を見ない人にも知ってもらいたいので、ありすぎる見どころを紹介します。「森林限界」という名言が出た昨季の王将戦王将戦は将棋界に8つあるタイトルのうちのひとつで、ほかのタイトルと同様に、一年間をかけて挑戦者を決める戦いが行われ、その挑戦者とタイトルホルダーのあいだでタイトル戦が行われます。この挑戦者になったのが羽生善治九段。将棋を知らない人でも知ってるスーパースターですね。一方のタイトルホルダーが藤井聡太王将(五冠)。こちらも、誰もが知ってるスーパースターですね。ちなみに、昨季(一年前)の王将戦は渡辺明王将と藤井聡太竜王(四冠)のあいだで行われ、藤井聡太竜王が4勝0敗で王将位を獲得。これにより史上最年少で五冠となりました。そのときの心境を聞かれたインタビューで出したワードが「森林限界」です。富士山に例えるとどのぐらいですか?という質問に「森林限界の手前というか、まだまだ上の方には行けていない」と藤井新王将が答えています。「森林限界」ってワードを出せるのが非凡ですよね。史上最年少で五冠となっても、「自分はまだまだ」という意味もそうですし、伝説の棋士である故升田幸三・実力制第四代名人の名言「たどり来て、いまだ山麓」のオマージュにもなってます。たどり来て、いまだ山麓故升田幸三・実力制第四代名人が史上初の3冠(当時はタイトルが3つだったので独占)を達成したときの名言として将棋界で語り継がれているものです。その王将戦で、2023年は「藤井vs羽生」の対局が実現したのです。「20歳vs52歳」 32歳差の対決まずは2人の年齢差に注目。藤井王将は2002年7月19日生まれで20歳、羽生九段は1970年9月27日生まれで52歳。32歳差です。スポーツの対戦とかでは、考えられないマッチメークですよね。この2人に近い年齢で例えると、プロ野球の野茂英雄投手(1968年生まれ)と村上宗隆選手(2000年生まれ)が32歳差です。「羽生vs藤井」がいかにドリームマッチかがわかりますよね。羽生善治、藤井聡太の時代羽生善治藤井聡太世相、「流行語」1970年誕生1985年棋士となる(15歳)阪神優勝、ロス疑惑、つくば万博、「私はコレで会社をやめました」1989年初タイトル獲得(19歳)平成元年、消費税開始、ベルリンの壁崩壊「24時間タタカエマスカ」1996年七冠達成(25歳)O-157、アトランタ五輪、巨人メークドラマ、「自分で自分をほめたい」2002年誕生日朝首脳会談、サッカー日韓W杯、「タマちゃん」2016年棋士となる(14歳)リオ五輪、米大統領選でトランプ当選、「神ってる」2017年永世七冠(47歳)29連勝を達成(15歳)「インスタ映え」「35億」「〇〇ファースト」2020年初タイトル獲得(17歳)「3密」「あつ森」「鬼滅の刃」羽生善治九段が七冠(独占)を達成したのは1996年で、藤井聡太王将が生まれる前の出来事です。初タイトル獲得は羽生九段は平成元年、藤井王将は令和2年。令和の天才に平成の天才が挑戦するのが今回の王将戦というわけです。後手番羽生九段の戦型に注目(横歩取り、振り飛車も出るか?)ちょっと専門的な話になりますが、「藤井vs羽生」のタイトル戦は戦型選択も見どころです。特に注目したいのは、羽生九段が後手番のときにどんな戦型を選ぶか。昨季、不調だった羽生九段が調子を取り戻し、挑戦権獲得の原動力にもなったのが横歩取りです。後手番で誘導するので、「横歩取らせ」ですが、この戦型を最近の羽生九段は好んでいます。横歩取り横歩取りの特徴を一言で言うなら「一触即発」。序盤から激しい変化になることが多く、一気に終盤戦になることもある戦型です。王将戦は二日制ですが、横歩取りとなると一日目から目が離せない戦いとなります。羽生九段の横歩取りでの最近の成績対局日結果対局相手棋戦先後2022/11/17●佐藤天彦九段棋王戦挑決T先手2022/10/26○渡辺明名人王将戦 挑決リーグ後手2022/10/14○近藤誠也七段王将戦 挑決リーグ後手2022/9/23●藤井聡太竜王将棋日本シリーズ後手2022/9/14○広瀬章人八段棋王戦挑決T後手2022/9/8●三浦弘行九段順位戦B級1組後手2022/8/5○佐藤康光九段棋王戦挑決T先手2022/6/30○千葉幸生七段棋王戦挑決T後手2022/6/16○山崎隆之八段順位戦 B級1組後手2022/5/2○澤田真吾七段王位戦 挑決リーグ後手先後は羽生九段が先手か後手か藤井聡太竜王とも9月に行われた将棋日本シリーズで後手番の羽生九段が横歩取りに誘導しています。このときは藤井竜王に敗れましたが、過去の公式戦で羽生九段が藤井王将に勝った戦型が横歩取りでした。「藤井 vs 羽生」の公式戦結果対局日棋戦持ち時間先手後手戦型2022/12/7棋王戦 挑戦者決定T(敗者復活)4時間●羽生善治九段〇藤井聡太竜王角換わり2022/9/22将棋日本シリーズ10分〇藤井聡太竜王●羽生善治九段横歩取り2021/11/8王将戦 挑戦者決定リーグ戦4時間●羽生善治九段〇藤井聡太三冠矢倉2020/9/21王将戦 挑戦者決定リーグ戦4時間●藤井聡太二冠〇羽生善治九段横歩取り2020/7/3銀河戦 本戦トーナメント15分〇藤井聡太七段●羽生善治九段三間飛車2020/2/17王位戦 挑戦者決定リーグ4時間〇藤井聡太七段●羽生善治九段角換わり2019/10/20王将戦 挑戦者決定リーグ戦4時間●羽生善治九段〇藤井聡太七段相掛かり2018/2/16朝日杯 準決勝40分〇藤井聡太五段●羽生善治竜王矢倉棋士名の前の〇●が勝敗ここまで2人の公式戦は8局あり、藤井王将の7勝1敗となっています。ただ、その1敗が横歩取りでした。タイトル戦での横歩取り(羽生九段)羽生九段は、2020年竜王戦第4局(対豊島竜王)、2018年竜王戦第6局(広瀬八段)で後手番をもって横歩取りを採用していますし、2018年名人戦(対佐藤天名人)は6局中3局が横歩取りでした。横歩取りについてもっと知りたい方はコチラ(私も勉強してます)黒田尭之の横歩取り研究?15のテーマとその結論 (マイナビ将棋BOOKS)新品価格¥1,462から(2022/12/26 11:37時点)出るか?藤井王将相手の藤井システム最近のタイトル戦は相居飛車の戦いがほとんどとなっていますが、羽生九段はタイトル戦でいろいろな戦型を指します。振り飛車を選ぶこともあるんですよね。例えば、2017年竜王戦(永世七冠となった七番勝負)の第3局(対渡辺明竜王)では、先手番で7六歩→5六歩からゴキゲン中飛車にしています(この対局は負け)。羽生九段はタイトル戦で振り飛車を指す棋士でもあるんですね。対藤井王将で言えば、2017年の非公式戦(第零期 獅子王戦 決勝戦)で、藤井聡太四段相手に四間飛車 藤井システムという戦型を選択しています。「藤井相手に藤井システム」って、羽生九段(当時三冠)もなかなか魅せますね。ひょっとしたらタイトル戦の大舞台でも…。想像するだけでワクワクしてきます。藤井システム藤井システムは、藤井猛九段が考案した振り飛車(対居飛車)の戦型。AIによる評価では、飛車を振っただけで不利になる(不利飛車)といわれ、タイトル戦での振り飛車は絶滅の危機。藤井猛九段よりも実は藤井システムの使い手と言われる羽生九段が藤井システムを改良してタイトル戦で採用するか?注目です。王将戦(藤井聡太王将 vs 羽生善治九段)の日程羽生九段がタイトル獲得となれば通算獲得タイトルが100期となります。その相手が「令和の天才」藤井王将だったら…。出来すぎたマンガのストーリーですが、期待してしまいます。ただ、藤井王将も八冠独占のためには落とせない戦い。こっちのストーリーも魅力的なんですよね。まもなく開幕。とにかく世紀の大一番を楽しみましょう!日程対局場場所第1局1月8-9日(日祝)掛川城 二の丸茶室静岡県掛川市第2局1月21-22日(土日)山水館大阪府高槻市第3局1月28-29日(土日)金沢東急ホテル石川県金沢市第4局2月9-10日(木金)SORANO HOTEL東京都立川市第5局2月25-26日(土日)さんべ荘島根県大田市第6局3月11-12日(土日)大幸園佐賀県三養基郡第7局3月25-26日(土日)ホテル花月栃木県大田原市